電気化学検出法(アンペロメトリー)は,測定器が小型で,蛍光法よりも適用可能物質の種類が多いため,
マイクロ流体分析デバイスの主要な検出法の一つとなっています。
しかし,検出限界がサブµM~µMと,実用的にはまだ感度不足でした。
感度が低い原因の一つは,マイクロ流路内に設置した微小電極からのシグナル強度が微弱であることにあります。
ただし,電極面積を拡張しても,シグナル強度は増大するものの,
電流密度およびシグナル/ノイズ比(S/N比)が低下するため,検出感度の向上にはつながりません。
この理由は,高い電流密度を得るには電極垂直方向の目的物質の濃度勾配を電極面全体で高く保つ必要がありますが,
電極は流れ方向にしか拡張できず,拡張するほど電極反応が連続することにより濃度勾配は流れに沿って低くなるからです。
そこで,我々は,微細な電極を流れ方向に所定の間隔で多数配列して,
電極反応を断続化することにより濃度勾配を高く保ちつつ電極面積を拡張できる単一くし形電極を考案しました。
現在,これを我々が開発した小型HPLCに組み込んだ高感度な分析システムを開発しています。
本研究は基盤研究(C)(2355087)の助成を受けたものである。